レオス・カラックス「ボーイ・ミーツ・ガール」4Kレストア版の冒頭シーン公開。井之脇海(俳優)×工藤梨穂(映画監督)の対談も一部紹介

レオス・カラックスの長編デビュー作「ボーイ・ミーツ・ガール」(1983)が、4Kレストア版となって1月31日(土)よりユーロスペースほか全国で公開される。冒頭シーンの映像と、パンフレットに収録される井之脇海(俳優)×工藤梨穂(映画監督)の対談の一部が到着した。

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ドニ・ラヴァンとミレーユ・ペリエの共演により、ともに失恋したばかりの男女の遭遇を描いた本作。カンヌ国際映画祭でヤング大賞を受賞し、若きカラックスは「神童」「恐るべき子供」「ゴダールの再来」などと騒がれた。

到着した冒頭シーンは、カラックスが愛読するセリーヌの『なしくずしの死』の書き出しを読む声で始まる。流れる楽曲は、セルジュ・ゲンズブールの『手切れ』をジョー・ルメールが歌ったものだ。

対談「カラックス映画から受けとったもの」 井之脇海(俳優)×工藤梨穂(映画監督)より

工藤梨穂 カラックスの映画には車やバス、電車、駅というモチーフが繰り返し出てきますが、乗り物が出会いや別れの起点になっている気がします。『汚れた血』ではアレックスとリーズの別れのシーンが駅で、追ってきたリーズをホームに残したまま電車のドアがプシューっと閉まる。人が抗えない運命的なものとして、乗り物をすごく効果的に使っている。自分では運転せずに、いつも乗せられているんです。
井之脇海 『ボーイ・ミーツ・ガール』ではパーティーの後でアレックスとミレーユがバスに乗っていると、後ろから来たバスの中に元彼が立っている。それでバスが走り出すとまた離れていく。
工藤梨穂 あのシーンも断絶、出会いと別れを強調しているような気がします。外的な運動であることによって運命を感じさせる。それと「見る」「見られる」という関係もよく出てきますよね。それこそアレックスがずっとヒロインを見つめているというのは、3部作で一貫している。そこには個人的な関係が反映されていて、カラックスとミレーユ、カラックスとビノシュ、監督と恋人と俳優の関係性が入り組んでいるのもカラックスらしいと思います。
井之脇海 3作ともアレックスはカラックスの分身で、ヒロインが本当のパートナーですからね。『ボーイ・ミーツ・ガール』でアレックスがちょっと変な告白をするじゃないですか。元恋人と君と僕でいい関係を築けるみたいな。それってカラックスが映画でやっていることに近いですよね。ああいうセリフに勢いがあるのは、どこかにその実感があるからだと思うんです。映画を通して自分をさらけ出すのはすごく怖いことなのに、自分の分身を作ってまでそれを表現している。すごくエネルギーが必要なことをやっていると思います。
工藤梨穂 そうですよね。観客からすると、作家に嘘がないからそこに惹かれるのかもしれない。個人的なことを作品に込めているからこそ響いてくるものがあるんだと思います。

「ボーイ・ミーツ・ガール」

監督・脚本:レオス・カラックス
撮影:ジャン=イヴ・エスコフィエ
出演:ミレーユ・ペリエ、ドニ・ラヴァン
1983年/フランス/モノクロ/104分/DCP
配給:ユーロスペース
公式サイト:http://carax4k.com

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