“シネマドリフター”リム・カーワイ監督の特集開催。濱口竜介監督らがコメント

大阪を拠点に香港、中国、バルカン半島などで映画を制作し、“シネマドリフター(映画流れ者)”を自称するリム・カーワイ。その監督キャリア16周年に合わせ、特集上映〈境界を超える無国籍映画 “シネマドリフター”リム・カーワイ─新世界の夜明け─〉が、3月20日(金)よりシモキタ-エキマエ-シネマ「K2」ほか全国で順次開催される。メインビジュアルと識者のコメントが到着した。

LKWss2026_MV.jpg

上映作は「アフター・オール・ディーズ・イヤーズ」デジタル・リマスター版(2025/2010)、「マジック&ロス」(2010)、「新世界の夜明け」(2011)、「Fly Me To Minami 恋するミナミ」(2013)、「どこでもない、ここしかない」(2018)、「いつか、どこかで」(2019)、「COME & GO カム・アンド・ゴー」(2020)、「あなたの微笑み」(2022)、「ディス・マジック・モーメント」(2023)、「すべて、至るところにある」(2024)の全10本(すべて英語字幕付き)。リム・カーワイ監督を特集した〈boid paper vol.3〉も、開催初日より販売される予定だ。

〈コメント〉

樋口泰人(boid主宰・映画批評家)
たとえばロバート・ゼメキスの『コンタクト』を観るように
リム・カーワイの映画を観る
あのねじれた時間と空間の隙間を瞬間移動したジョディ・フォスターのように
われわれもまた誰にも説明のつかない果てしない旅を体験することになるだろう
それが生きるということではないか映画を観るということではないか
今こそリム・カーワイというミステリー・トレインに乗り込む時だ

濱口竜介(映画監督)
自分が逆立ちしても撮れないような映画、それがリム・カーワイの映画だ。そこ(現実)に在るものの力に頼りきりながら、結果的にそれを他のどこにもないフィクションへと昇華するその魔術的な手腕にはいつも驚かされる。どうやったらこんなものができるのか。相当な軽やかさと粘り強さを備えている、ということ以外は想像もつかない。こんな映画(監督)が存在するということに、多くの人に驚いてほしい。

東山彰良(小説家)
世界の片隅にうずもれた、どこにも居場所のない小さな物語をリム・カーワイはそっとすくい上げる。帰れる場所を心に持つ幸運と、それを探し求めて彷徨う人々の諦観がゆるやかに溶け合ってつむぎ出される彼の作品は、誰もが旅の途中なのだと気づかせてくれる。

藤元明緒(映画作家 ★リム・カーワイ監督作品「新世界の夜明け」「恋するミナミ」などで制作部)
学生のとき、映画の現場に初めて参加したのがリム組でした。
迷路のような映画づくりの道の中で、誰よりも明るく、悩み、たまに怒りながら、それでも迷わず直進していく監督の姿に憧れていたことを思い出します。
あの映画をつくる喜びと熱は、きっと多くの観客にも伝わっていくはずです。

神保慶政(映画監督 ★リム・カーワイ監督作品「恋するミナミ」インターン、「カム・アンド・ゴー」助監督)
リム監督の作品は、現場(『恋するミナミ』で少し&『Come and Go』でがっつり体験!)もストーリーも、シュールレアリスム絵画鑑賞のようだと思う。「なぜこうするんだろう?」「目の前のこの光景は、、、何?」と、よくわからないけどインコのように肩に乗せてもらう感じで同行してみる。すると未知の感覚がいつの間にか自分の中に宿る。そもそも、言葉にできないから映画で撮るのだろうし、言葉で説明できてしまったら映画じゃない。つまり、映画館で観るしかない!

塩川節子(美術 ★リム・カーワイ監督作品「新世界の夜明け」「恋するミナミ」「カム・アンド・ゴー」美術)
破茶滅茶な撮影ではあったが、リム監督と過ごし、垣間見た大阪の街はどれも深く記憶に刻まれている。持ち前のキャラクターでもってその街の深部に潜り込み、ホンモノと作りもののロケーションを巧みに使い分け、街の姿を軽妙に映しとる魔術師のような能力。リム監督の映画の魅力のひとつだと思う。

COME & GOカム・アンド・ゴー.jpg
「COME & GO カム・アンド・ゴー」

リム・カーワイ監督コメント
日本でサラリーマン生活をやめたのが、31歳。その後、未知の中国大陸で映画界に飛び込み、映画監督に転身した。長編デビューは37歳。「50歳までに長編10本撮る」という理想を持っていたが、できる根拠も基盤もなかった。ただ、やるしかないと思って続けてきた。50歳で、11作目『ディス・マジック・モーメント』が完成して、目標より1本多い11本の長編を世に送り出した。
未来を考えなかったこと、そして多くの人に迷惑をかけ、多くの諒解と協力があった。相変わらず順風満帆とは言えないが、残りの人生も映画と歩もうと思う。
今回の特集上映は、僕にとって今までの人生を賭けたすべてをテーブルに出す、ショーダウンのようなものです。ぜひ、僕の映画に賭けて観てください。

〈境界を超える無国籍映画 “シネマドリフター”リム・カーワイ─新世界の夜明け─〉

配給:Cinema Drifters 宣伝:大福
©cinemadrifters

ご案内