切羽詰まった状況で生まれた「リング」の【きっと来る、きっと来る~♪】――〈あの懐かしの映画を語ろう2〉第3回後編

キネマ旬報YouTubeチャンネル〈あの懐かしの映画を語ろう2〉の第3回の後編が5月20日(水)より配信が開始。フジテレビなどでヒット作から単館系まで数多くの作品を手掛けた河井真也氏に今回語っていただいたのは「リング」・「らせん」。

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©1998 リング らせん 製作委員会

※去る5月8日、「リング」「らせん」の原作者の鈴木光司氏が死去しました。心より哀悼の意を表します。図らずもその訃報を受けるかたちで配信することになりましたが、番組の収録は昨年末に行われたものであることをご留意ください。

とにかく時間がない――。「リング」「らせん」の公開が決まっている中で、すでに東宝と角川書店で進められていた作品作りに参加することになった河井氏。特に「らせん」は、「リング」のシナリオが決定しないことには書き始めることができない。前編では、当初予定していた監督に代わり、飯田譲治氏に監督と脚本作りを託した経緯が語られたが、後編では本来「らせん」のプロデューサーであった一瀬隆重が、同様の理由で「リング」に関わっていった事情も語られる。

2本立てという呼び方をせずに、2作を観ることで完結する“デュアル・ムービー”として打ち出された「リング」「らせん」は、1月公開作品にも関わらず、その前年の10月時点では「らせん」のシナリオが完成していないという状況で、完成披露試写会は「リング」のみ上映されたのだ。

そんな状況で河井氏は、『東宝とやるならヒットしないと楽しくない』と、撮影が始まってからはひたすら、いかに作品を宣伝していくかに注力する。それが、これまでのセオリーからは外れたユニークな仕掛け。ひとつはポスターなどのビジュアル面。通常、スターが出演する作品であればそれを前面に出したデザインにするが、出演者のビジュアルはいっさい出さないデザインに。「リング」は赤系、「らせん」は青系のデザインで対照的にしたものだが、作品の“怖さ”を伝えることに特化したもの。中で使われた人物は今では誰かも分からないという。

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※河井氏が持参した当時の「リング」「らせん」のフライヤー

さらに、特報映像にはロンドン出身のジュノ・リアクター(「マトリックス リローデッド」のサントラにも参加)のテクノ音楽を使用。ホラーとは結び付かない音楽の組み合わせが逆にハマったという。

そして、今では“貞子のテーマ”と言えば通じるほど広く知られるまでになった、15秒のTVスポットのためにレコーディングをした『feels like 'HEAVEN'』。“きっと来る、きっと来る”というフレーズが一度聴いたら忘れられず、作品を強烈に印象付ける曲だが、とにかく時間がないという切羽詰まった状況と、ホラーがそこまで好きではなかったからこそ生まれた産物だったという――。

そのほか、「リング」のリメイクの話や、そこで知るハリウッドと日本の規模の違いや、原作では3部作で完結するシリーズの「ループ」の製作についても語られていく――。Jホラーブームを巻き起こし様々な作品に影響を与え、“貞子”という不朽のホラーアイコンまで生み出した、「リング」「らせん」の製作秘話を語った本編をぜひご覧ください。

「リング」

監督:中田秀夫
原作:鈴木光司
エグゼクティブプロデューサー:原正人
プロデューサー:河井真也、一瀬隆重、仙頭武則
出演:松嶋菜々子、真田広之、中谷美紀、竹内結子、佐藤仁美、松重豊
1998年/95分/配給:東宝

「らせん」

監督・脚色:飯田譲治
原作:鈴木光司
エグゼクティブプロデューサー:原正人
プロデューサー:河井真也、一瀬隆重、仙頭武則
出演:佐藤浩市、中谷美紀、真田広之、鶴見辰吾、佐伯日菜子
1998年/97分/配給:東宝

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