革新的映像はまさに圧巻。新境地に挑んだ、映画「果てしなきスカーレット」

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「サマーウォーズ」(2009)「バケモノの子」(2015)「竜とそばかすの姫」(2021)などを手掛け、世界的評価も高いアニメーション映画監督・細田守が、ストーリーも映像表現もこれまでにない新境地に挑戦した最新作「果てしなきスカーレット」。世界の映画祭でも注目された本作のBlu-ray&DVDが、5月27日(水)に発売される(レンタルDVD同時リリース)。Blu-rayスペシャル・エディションには、約2時間半にもおよぶ映像特典や、パンフレット縮刷版に制作の裏側に迫るプロダクションノートを追加収録したスペシャルブックレットも封入されており、細田監督が約4年半をかけて本作で挑んだ野心的な挑戦の一端を垣間見ることができる。

『ハムレット』をベースにした今の時代にあるべき復讐劇

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本作はウィリアム・シェイクスピアの四代悲劇の一つ『ハムレット』をベースに細田監督なりの現代的解釈で描く、今の時代にあるべき復讐劇を通して生きるとは何かを問いかけるオリジナルアニメーション映画。古典が題材の哲学的テーマを描きつつも、アクション、冒険、感動なども満載したエンターテインメント作品で、さらには手描きの2Dや3DCGといった枠に収まらない新たなアニメーション表現にも挑んでおり、特にその革新的な映像表現はまさに圧巻。第82回ヴェネツィア国際映画祭のアウト・オブ・コンペティション部門でワールドプレミア上映されたほか、アニメーション界のアカデミー賞とも称される第53回アニー賞では、長編アニメーション部門でインディペンデント作品賞、監督賞、脚本賞にノミネートされるなど、世界でも注目を集めた。

物語は16世紀のデンマークから始まる。王弟クローディアス(声:役所広司)の罠に嵌められて、反逆者として処刑された国王アムレット(声:市村正親)を父に持つ王女スカーレット(声:芦田愛菜)は、父を殺して王位を奪った叔父クローディアスへの復讐を誓いながら成長するが、叔父の暗殺に失敗。逆に毒を飲まされて意識を失った彼女は、荒涼とした大地が広がる《死者の国》で目を覚ます。そこは生と死の狭間のような場所で、人々が略奪と暴力に明け暮れ、力のない者や傷ついた者は〈虚無〉となって散り、その存在が消えてしまう狂気の世界だった。そして、この“死者の国”に、宿敵クローディアスも居ることを知ったスカーレットは、改めて復讐を強く誓う。

一方でクローディアスは、《死者の国》で誰もが夢見る天国のような“見果てぬ場所”を見つけ出し、我がものにしようと民衆を扇動して支配しており、スカーレットが自身を探していると聞きつけると、彼女を〈虚無〉とするために容赦なく刺客を差し向けてくる。そんな中、スカーレットは、現代の日本からやってきた看護師・聖(声:岡田将生)と出会う。戦うことでしか生きられないスカーレットと、戦うことを望まない聖。時を超えて出会った二人は、最初は衝突しながらも、次々と現れる刺客と闘いながら、宿敵の待つ“見果てぬ場所”を目指し、《死者の国》を共に旅することに。敵・味方に関わらず傷ついた身体を治療し、優しく接する聖の温かい人柄に触れ、凍り付いていたスカーレットの心は、徐々に溶かされていく……。

実写畑のスタッフや世界的スタッフも参加!

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【Blu-rayスペシャル・エディション】に収録された映像特典内で細田監督は、スカーレットのモデルは、公開当時9歳だった娘だと明かしている。これまでも普遍的かつ誰にも身近な家族をモチーフにしてきた細田監督は、今後もいろんなことが起きていく世界を娘がどう生きていくのか、未来を目指して力強く幸せに生きていって欲しいという願いがスカーレットと本作に込められているという。壮大な世界観を描いた物語にも見えるが、劇中でスカーレットが歩む混沌とした不安定な世界は混迷する現代社会を反映しており、そんな世界をどうやって生きていくのかを探す本作は、誰にも身近に感じられる普遍的な物語ともなっている。また、復讐の連鎖、生きる意味などを、アクションや冒険も交えて描く本作は、圧倒的迫力の映像表現とも相まって、宮﨑駿監督の「もののけ姫」(1997)とも通じるものがあり、細田監督にとっても大きなターニングポイントの作品ではないかと思われる。

約4年半もの制作期間については、「スケールの大きさも、内容も、表現も、座組的にも挑戦尽くしの作品だった」と振り返るほど、本作は様々な挑戦に取り組んだ作品となっている。細田監督作品はこれまでも幅広い分野のスタッフが参加してきているが、今回はキャラクターデザインをJin Kim(「アナと雪の女王」「ベイマックス」キャラクターデザイン)と上杉忠弘(「ベイマックス」「リメンバー・ミー」コンセプトアート)というディズニー作品にも参加する世界的なアニメーターとイラストレーターが務めるほか、実写でも活躍する上條安里(プロダクションデザイン)、伊賀大介(衣装ケース)、小林孝輔(音響効果)などのスタッフも参加。

また、本作は激しいアクションシーンも見所の一つだが、アクション・コーディネーターとして「ベイビーわるきゅーれ」シリーズ(2021~2024)やドラマ『ちるらん 新撰組鎮魂歌』(2026)でアクション監督を務めた園村健介も参加。Vコン(ビデオコンテ)を基に制作されたアクションと、モーションキャプチャーを基に制作されたアクションを併用した実写のリアルな動きに、アニメならではのケレンミある動きを融合させているのも細田監督の新たな挑戦の一つだ。そのスタントマンを使って各アクションシーンをカット割まで作り込む見本映像のVコンには、スタントアクターとして「ベイビーわるきゅーれ」シリーズ主演俳優の伊澤沙織も参加。伊澤の芝居はスカーレットの前半のアクションシーンの基になっている。特にスカーレットが“死者の国”で本格的な初戦闘を行う、兵士や剣士との3連戦後に父の敵の一人のコーネリウス(声:松重豊)と一騎打ちの肉弾戦を行う一連のシーンは、園村と伊澤ならではのリアルかつキャラクター性を活かしたアクションとなっている。

細田監督の創作過程と挑戦の軌跡に迫る数々の映像特典

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そして音楽には細田監督の前作「竜とそばかすの姫」のほか、「TOKYOタクシー」「ファーストキス 1ST KISS」(2025)などの岩崎太整が参加。細田監督が「音楽家である以上に映画制作者」「映画に寄り添う音楽家」「音響まですべての音を作れる音楽家は他にいない」と全幅の信頼を寄せる岩崎は、「(これまでに)無い世界を描くという監督の挑戦についていく上で、(音楽もこれまでに)無い録音の仕方をやった」と語り、“規格外”の飽くなき挑戦に挑んだという。音楽でもかつて見たことのない世界観を表現するために、バイオリン奏者120人、ビオラ奏者40人、チェロ奏者30人、コントバス奏者20人をそれぞれのパート毎に集め、岩崎も初めてという総勢210人による弦楽オーケストラで収録。他にも打楽器集団“LA SEÑAS”を起用して世界中の打楽器の音を取り入れたり、地獄の底の地響きのような想像を超える低音を表現するために、世界でも類を見ない低音だけに特化した全長約2mの巨大な弦楽器を制作。その弦楽器はドラゴンの鳴き声に使用されている。そんな規格外の音楽制作の裏側については、映像特典『映画特番「果てしなきスカーレット」をめぐる4年の日々~細田守×岩崎太整 映画音楽の世界~』で見ることができる。

他にも映像特典『映画特番「果てしなきスカーレット」をめぐる4年の日々~細田守の新たな挑戦~』などで、約4年の創作の軌跡を追っており、2023年9月にヨルダンなど中東で行ったロケハンや、公開の約2年前から行われていたプレスコの模様なども収録。これまでの細田監督作品としては初めて先に声を収録するプレスコを採用した理由も明かしている。

また本作で特に画期的な、手描きの2Dや3DCGといった枠に収まらないアニメーション制作の裏側もその一端が明かされている。3DCGアニメーションは、セルルックCGという手描きの2D作画風のCGの進化も著しく、現在のアニメの多くは一つの作品内で手描きの作画とCGを併用しているが、ある程度はその手法の差異の区別がつくことが多い。しかし、本作は全編で手描きの作画かCGかが明確には判別しにくく、まさに細田監督が目指したこれまでにない新たなルック(画面自体の視覚スタイル)の作品となっている。そこには、CGスタッフ総勢270人、制作期間も前作の2倍をかけ、かつてない膨大なCG作業が行われたという。細田監督が追及する世界観をスタッフと共に試行錯誤した様子の一端が窺える。

他にも『芦田愛菜×岡田将生×役所広司が見た「果てしなきスカーレット」誕生と細田守の挑戦』や、豪華キャスト陣が登壇したジャパンプレミアと初日舞台挨拶などの『イベント映像』では、芦田愛菜、岡田将生、役所広司ら豪華な主要キャスト陣のコメントも収録。芦田と岡田も参加した第82回ヴェネツィア国際映画祭上映時に約10分ものスタンディングオベーションを受けた模様や、「すべての細田作品に出演したい」「実写ではできない体験ができる」と語る役所が、同じく本作で細田監督作品4作目の出演となる染谷将太にライバル心を見せる姿や、舞台で数々のシェイクスピア作品に挑んできた吉田鋼太郎と松重豊が、本作に心から深く感動したことを熱く語る姿なども収められている。本作は豪華な俳優陣の全員が好演しているが、特に主人公の敵となる悪役を演じる役所の新鮮さも見どころの一つとなっている。

文=天本伸一郎 制作=キネマ旬報社・山田

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「果てしなきスカーレット」

●5月27日(水)Blu-ray&DVD発売(レンタルDVD同時リリース)
▶Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら

●Blu-rayスペシャル・エディション 価格: 8,580円(税込)
【ディスク】<2枚>※本編+特典映像
★特典映像★
・映画特番「果てしなきスカーレット」をめぐる4年の日々
 ~細田守の新たな挑戦~
 ~細田守×岩崎太整 映画音楽の世界~
・芦田愛菜×岡田将生×役所広司が見た「果てしなきスカーレット」誕生と細田守の挑戦
・イベント映像
ジャパンプレミア/初日舞台挨拶
・エンディングテーマ「果てしなき」特別PV
・劇中歌「祝祭のうた」スペシャルムービー
・プロモーション映像集
★封入特典★
・スペシャルブックレット(劇場パンフレット縮刷+プロダクションノート)

●Blu-rayスタンダード・エディション 価格:5,280円(税込)
【ディスク】<1枚>※本編
★封入特典★
キャラクター紹介リーフレット

DVDスタンダード・エディション 価格:4,180円(税込)
【ディスク】<1枚>※本編
★封入特典★
キャラクター紹介リーフレット


●2025年/日本/ 111分
●原作・脚本・監督:細田 守
●作画監督:山下高明
●キャラクターデザイン:Jin Kim 上杉忠弘
●CGディレクター:堀部 亮 下澤洋平 川村 泰
●美術監督:池 信孝 大久保錦一 瀧野 薫
●色彩設計:三笠 修
●撮影監督:斉藤亜規子
●音楽:岩崎太整
●プロデューサー:齋藤優一郎 谷生俊美 高橋 望

●声の出演:
芦田愛菜
岡田将生
⼭路和弘 柄本時⽣ ⻘⽊崇⾼ 染⾕将太 ⽩⼭乃愛 / ⽩⽯加代⼦
吉田鋼太郎 / 斉藤由貴 / 松重 豊
市村正親
役所広司

●発売・販売元:VAP
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