映倫 次世代への映画推薦委員会推薦作品 —「平行と垂直」

交わりの先に広がる、きょうだいの物語

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主人公・大貴を演じた安田章大が、劇団ふくふくや主宰で俳優の山野海によるオリジナル脚本に感銘を受けて制作を熱望。その思いが実を結び、映画化された。自閉スペクトラム症の兄・大貴と、のん演じる結婚を控えた妹・希の人生の節目を、優しいユーモアと温かな視点で描くヒューマンドラマだ。

ルールや約束をきちんと守る几帳面な大貴は、清掃員として働きながら一人暮らしをする。希をはじめ、商店街の人々やグループホームの職員、職場の先輩、公園で出会う少女らが、そんな日常にそっと寄り添う。2人が暮らす大阪・堺の人情味溢れる商店街や、気取らない街の空気もまた、作品世界に確かな実感をもたらしている。

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やがて希の結婚が決まると、並んで歩んできたきょうだいの関係に少しずつ変化が生まれる。そんな中、ある出来事に巻き込まれた大貴に苛立つ希は、心ない言葉をぶつけてしまう。自らの言動にいたたまれなくなった希に、大貴が何気ない一言を返すと、兄を支えてきたと思っていた妹は、互いに支え合ってきたことに気づく。〝支える側〞〝支えられる側〞という固
定観念は静かに揺らぎ、きょうだいの葛藤は、社会が抱える問題として輪郭を帯び、家族の物語は普遍的な
ものへと昇華する。

監督は「かぞくのひけつ」(06)の小林聖太郎。家族を社会の縮図として捉え、身近な問題に笑いを交えて描いてきた。本作でも、軽やかさと哀感が同居する安田とのんの繊細な芝居を生かし、シリアスなテーマをユーモアで包み込み、重喜劇のような味わいを生み出した。全篇を貫くその眼差しには、人間の善性を信じ、互いに寄り添いながら生きることの尊さを見つめる監督の真っ直ぐな思いが息づいている。

文=小竹亜紀 制作=キネマ旬報社・山田 (『キネマ旬報』2026年9月号より転載)

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「平行と垂直」

【あらすじ】
自閉スペクトラム症の大貴は、清掃員として働き、自立して生活をしている。カウンセラーとして働く妹の希は、そんな兄を常に気にかけていた。二人は毎週水曜、大貴の家で食卓を囲む。そんないつもの食事会の夜、希は恋人の雅也からプロポーズを受ける。大貴も結婚を喜ぶが、その日を境に、変わらないと思っていたきょうだいの日常が静かに揺らぎ始める。

【STAFF & CAST】
監督:小林聖太郎
原案・脚本:山野海
出演:安田章大、のん ほか
配給:東映ビデオ

2026年/日本/118分/Gマーク
8月28日(金)より全国にてロードショー
©2026「平行と垂直」製作委員会

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