『半世界』で炭焼き職人の高村紘を演じた、稲垣吾郎。公開は『クソ野郎と美しき世界』(2018年)が先だったが、撮影はこちらが先行していた。独立後初めての映画で、映画主演も『笑の大学』(2004年)以来、久しぶり。美しく優雅な男性や、エキセントリックな役を演じることが多かった稲垣だが、『半世界』では土にまみれ、灰にまみれ、日常にあくせくする中年男性としてそこに存在している。映画俳優として新たな地平に立った彼が、いま見据えるものとは? 主演でしか味わえないこと 阪本順治監督はこの作品をスター映画と考え...
若尾文子、岩下志麻、桃井かおり、原田美枝子に宮沢りえ。「キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞」を3回受賞した歴々に、このほど安藤サクラも名を連ねた。しかも2010年代の7年間(2012~2018年)だけで、3度目の栄冠という快挙。60年代に若尾文子が8年間で同じ記録を達成していることを踏まえても、名優と呼んで差し支えない域に達した感がある。だが、本人は自身のことよりも夫である柄本佑の「主演男優賞」受賞に、顔をほころばせた。 安藤サクラ(以下、安藤):「すっごく、うれしかったです。それは夫婦で受賞した...
音楽の力で今冬を席巻した『ボヘミアン・ラプソディ』。Netflixをはじめとする配信による新作公開の増加。映画の共通体験の場としての劇場のあり方が問われる中、ハリウッドの映画人たちはどこへ向かうのか? (C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved. 2018年のアメリカ映画を振り返るにあたり、日本でも予想外の大ヒットとなった2本の音楽映画のことから始めないわけにはいかないだろう。1本目は『グレイテスト・ショ...
「あなたはこんなにも魅力的です、ずっと愛していました」…松本花奈監督から主演の橋本愛へ、そして映画から観客へ、そのメッセージを伝えるためのラブレターのような、わずか8分の作品『愛はどこにも消えない』。『21世紀の女の子』のうちの一篇である。この映画は、80年代後半~90年代生まれの監督15人が集結、“自分自身のセクシャリティあるいはジェンダーがゆらいだ瞬間が映っていること”を共通のテーマに8分以内の短篇で表現するオムニバス作品。 女優陣を代表して橋本愛にこの作品について質問した。聞き手は、『21...
『夜明け』の柳楽優弥は初々しい。演じるキャラクターが初々しいのではない。演技表現そのものが初々しい。確かなキャリアを積み重ね、唯一無二と言っていい存在感を身に付けた俳優が、かくも初々しく画面の中に存在していることに驚かされる。 「最近出てる作品の役が、どちらかと言えば個性的で。台本を読んだときに、組み立てるための摑みどころがあるものが多かったんです。今回のキャラクターは事前に組み立てていくというよりは、(撮影)現場で起きたことにしっかりリアクションできるようなやり方をしたいなと。そのことを監督に...
最近の中国映画界は、海外の映画祭で高評価を得た作品と、エンタテインメント色の強いヒット作という、異なる特徴を持った新世代監督の台頭で二極化している。 『迫り来る嵐』や『象は静かに座っている』(中国公開は未定)は映画ファンから支持されても、本国での興行的成功は期待しにくい。最近はネット配信などでの回収も見込めるとはいえ、作家性、資金調達、市場のバランスを取るのが難しいのはどこの国も同じだ。 ウェブサイト「影視工業網」を運営する北京画外科技が若手監督60人に対して行ったアンケート結果(*)によると、...
(C)2019 映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 (C)東野圭吾/集英社 刑事とホテルマンのバランス 「今回は“ホテルマンを演じる刑事を演じる”ということなのですが、単純に二段階に演じ分けるということでもないのがやっかいなんです。あの役は “刑事がホテルマンを演じている”と感じさせなければならないので、基本的に刑事でなくてはならない。その彼がだんだんとホテルマンに見えてくる点が面白いと思うんです。撮影は物語の順番に撮るわけではないので、木村もそこは苦労していました。本番になると『俺、いまホ...
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