友を想う優しさの魔法が奇跡を生む、映画「僕らは人生で一回だけ魔法が使える」 木村真人監督インタビュー
鈴木おさむの同名朗読劇を、主演の八木勇征をはじめ、井上祐貴、櫻井海音、椿泰我の共演で映画化した感涙必至の青春ファンタジー「僕らは人生で一回だけ魔法が使える」のBlu-ray &DVDが10月8日にリリースされる(初回製造限定の特別版には、メイキングや出演者の舞台挨拶など、1時間を超える特典映像付き)。
これは男性が18歳になると、人生で一度だけ魔法が使えるという秘密が受け継がれている村を舞台に、アキト(八木勇征)、ハルヒ(井上祐貴)、ナツキ(櫻井海音)、ユキオ(椿泰我)の4人が、魔法を何に使うかと向き合っていく物語。美しい村の風景を背景に、互いを想うピュアな友情を描いて、今回映画を初監督した木村真人に、俳優たちと作品の魅力を伺った。
きれいな心を持つ4人が暮らす、美しい自然を映像で表現しました
——原作は鈴木おさむさんの朗読劇ですね。
木村:舞台のイメージに引っ張られるのを避けるため、事前に朗読劇は観ませんでした。(鈴木)おさむさん自身が映画の脚本も書いてくださいましたが、それを読むと若者たちがエネルギッシュに動く、優しさと慈愛に満ちた物語だと思いました。また朗読劇より4人の友情に話がフォーカスされていて、観てくださる方が共感しやすいように落とし込んで、脚本が書かれていると思いました。
——鈴木おさむさんは、自分の故郷・南房総市をイメージして原作を書いたそうですね。
木村:おさむさんがそうおっしゃっていたので、映画も南房総市を中心にロケハンしました。実際に行ってみると、都会に程近い片田舎で、彼ら4人のようなきれいな心を持った少年たちが育つ環境に、ぴったりの素晴らしい場所だと思いました。おさむさんから注文があったのは、「ものすごく美しく撮ってほしい」と。自然豊かな風景や爽やかな風、花や樹木の匂いなど、朗読劇では伝えにくい美しさや五感に訴える自然の感覚を、映画では存分に盛り込んでで撮影をしました。
——少年時代と、成長した高校生時代の4人の姿が交錯する場面で、背景に写る満開の桜をはじめ、自然描写が印象的ですね。
木村:あの桜は、ハルヒの人生を変えるくらい美しい風景でなくてはいけない。また魔法を使うときは祈願山にそびえる木の葉を1枚取って、魔法を使う人が願いをかけて葉っぱを飛ばすんですが、自然描写に魔法が関係するので、ここでは見てくださる方が本能的にきれいだねと思う、理想のきれいさを映像で表現しようと思いました。
主演の八木勇征さんをはじめ、役にぴったりだった4人の俳優!
——その映像のきれいさが、友情で結ばれた4人のピュアな心情と重なって見えます。そういう意味でも4人の俳優には、気持ちの一体感が必要だったと思うのですが?
木村:4人でいるときには、できるだけ何の話でもいいから、みんなで話してほしいとお願いしました。彼らの関係性が深まることで、例えば何に魔法を使うのか話し合う『魔法会議』の場面でも、自然に4人の仲の良さを表現できると思ったんです。全員が揃ったのは撮影前の本読みが最初でしたが、その時すでにみんな気持ちが入っていて、セリフを言いながら涙を流す人もいました。その気持ちのままリハーサルに入ることができましたし、4人の年齢が近かったので、彼らの心の距離が縮まるのは早かったですね。
——彼らと彼らが演じたキャラクターに接点を感じましたか?
木村:八木勇征さんとは初めてご一緒しましたが、アキトと近しいものを内包していると感じました。アキトは4人の中で、主役なのに状況を裏で回しているところがある。中盤からは、村から離れますしね。八木さんも見ていると、人との懸け橋になってしゃべっている部分があって、そこが似ていると思いました。また感情の幅が広いところも、根底にいつも優しさと笑顔を持ちながら、瞬発的に様々な感情を覗かせるアキトに近いです。
ハルヒを演じた井上祐貴さんは、とても真面目で演じることにひたむきなんです。ハルヒのキャラクターを作るときに話したのは、「ハルヒはまず相手のことを考えて、最後に自分のことを考える。そういう感情の作り方をしましょう」と。そう言ったら井上さんは、演じるときに、まず人を見てから言葉を発していたり、病気で咳が出るときも、人から見えないように気を遣ってしていたりと。そんな一つ一つの表現を繊細にひたむきにやっている感じが、真面目で優しいハルヒと重なりました。
ナツキの櫻井海音さんとは何度か仕事をして、お互い信頼関係で結ばれた仲なんです。だから最初に大体のことを話し合うと、あとは彼に演じ方を任せれば、安心して観ていられる。役を掘り下げて準備もして来る方ですし、僕はその姿勢を尊敬しています。またサッカーが得意なので、劇中のサッカーシーンは彼が率先してメンバーを集めて動きを作って、僕はそれを躍動感とともに撮ればいいという感じでした。
ユキオ役の椿泰我さんは、4人の中で一番俳優経験が少ないんです。最初は田舎の高校生らしい歩き方ということからできなくて、結構話し合いもしました。でも自分で歩き方を始め色々な部分を直してきたり、至らないと思ったら負けじと食らいついてくる力はすごいと思いました。最終的にはナチュラルな表現へ持っていける、潜在的な才能を持った人だと思いましたね。
人が人を想う優しさこそが、魔法だと思っています
——劇中では、それぞれが友のことを思って魔法を使いますね。監督はここでの魔法を、どのようなものだと捉えましたか?
木村:魔法=優しさだと捉えています。人が人を想う感情がプラスに働くときには優しさが芽生えていて、きっとそれは人に幸せをもたらす。そういう優しさが、ここでは魔法という言葉になるんだと捉えています。おさむさんと最初に話したとき、「いろんな場所で争いが起きている世界の中で、誰かが優しい気持ちを持って、同じような気持ちを持つ一人一人の輪が広がっていけば、世界はもっといい方向へ向かう。理想かもしれないけれど現実にそうなったらいいよね」とおさむさんはおっしゃっていた。この作品自体、おさむさんのこうあってほしい、こういう人間関係になったら素敵だよねという想いを書かれていると思います。なので、そのことが4人の友情を通して観る方に伝わっていただけると、嬉しいです。
取材・文=金澤誠 制作=キネマ旬報社・山田
<木村真人 プロフィール>
1987年7月4日生まれ。共同テレビジョン所属。GP帯の連続ドラマから配信作品、MVと多岐にわたり監督を務めている。劇場長編映画監督は本作が初となる。主な作品はドラマ『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~2020』(20)、『知ってるワイフ』(21)、『推しの王子様』(21)、『ゴシップ #彼女が知りたい本当の〇〇』(22)、『純愛ディソナンス』(22)、『ウソ婚』(23)、『院内警察』(24)『アオハライドSeas on1・2』(23/24)など。縦型作品としても、“au×アスミック・エース”の縦型ショートドラマプロジェクト『STUDIOsauce』の第1弾『てのひらラブストーリー 〜婚活五重奏〜』をディレクション。また、映像制作団体INDIEZの全ての作品の監督・プロデュースを務めていて、2019年にCAMPFIRE CROWDFUNDIN GAWARDエンターテインメント賞を受賞。
「僕らは人生で一回だけ魔法が使える」
●10月8日(水) Blu-ray &DVD 発売
Blu-ray &DVD 詳細情報はこちら
●初回製造限定 Blu-ray特別版 価格:7,700円(税込)
【ディスク】<2枚組>※(本編ディスク1枚+特典ディスク【DVD】1枚)
<特典映像>
・メイキング
・舞台挨拶
・予告編
<封入特典>
・特製ブックレット(16P)
●初回製造限定 DVD特別版 価格:7,700円(税込)
【ディスク】<2枚組>※(本編ディスク1枚+特典ディスク1枚)
<特典映像>
・メイキング
・舞台挨拶
・予告編
<封入特典>
・特製ブックレット(16P)
●DVD 通常版 価格:4,950円(税込)
【ディスク】<1枚組>※(本編ディスク1枚)
<映像特典>
・予告編集
●2025年/日本/本編111分/映像特典108分
●原作・脚本:鈴木おさむ
●監督:木村真人
●音楽:横山 克
●主題歌:『春舞う空に願うのは』 FANTASTICS
●エンディングテーマ:『魔法みたいな日々』 FANTASTICS
●出演:八木勇征
井上祐貴 櫻井海音 椿 泰我(IMP.)
カンニング竹山 阿部亮平 髙橋洋 馬渕英里何
平野宏周 工藤美桜 笹野高史 田辺誠一
●発売・販売元:ポニーキャニオン
©2025 映画『僕らは人生で一回だけ魔法が使える』製作委員会
