限りある時間を、全力で生きる—「ストロベリームーン 余命半年の恋」に映し出される“さまざまな愛”のかたち

WEB メイン_yoko.jpg

2023年の刊行以来、「令和イチ泣ける」と口コミで広がった、芥川なおのベストセラー小説を映画化した「ストロベリームーン 余命半年の恋」が、2026年4月15日(水)にBlu-ray&DVDとして発売(レンタルDVD同時リリース)される。

脚本に「余命10年」(2022)や「いま、会いにゆきます」(2004)の岡田惠和、監督に「美しい彼〜eternal〜」(2023)の酒井麻衣を迎え、當真あみ演じる余命半年を宣告された15歳の萌と、齋藤潤扮する日向の純愛物語は、ヒューマンドラマへと昇華された。

今回発売されるBlu-rayにはメイキングやイベント映像集、スペシャル座談会完全版、ブックレットが収録され、作品の≪もう一つの時間≫に触れることができる。

純愛を超えたヒューマンドラマとして岡田惠和×酒井麻衣が紡いだ世界

WEB sub3_0805_11_019_h.jpg

原作は日向の視点で語られる純愛小説だが、映画化にあたり脚本を手掛けた岡田惠和は、「萌目線」への転換を提案したという。限りある命を生きる少女とそれを支える周囲の人々の思いを重ねることで、より奥行きのある人間ドラマへと広がりを見せた。

その象徴とも言えるのが、ユースケ・サンタマリアと田中麗奈が演じる、萌の両親の存在だ。病気で学校に通えない娘のために自宅に教室を再現し、給食まで同じ形で用意する。そして、萌が「可愛くて、カッコいい友だちが欲しい」と願えば、ごく自然な形でその夢が叶うように綿密に策を練る。共に娘の前では気丈に振る舞いながら、ひとりになれば感情があふれ出す…。その切ないほどの表情の“落差”が、言葉では表しきれない親の愛を浮かび上がらせている。

岡田が「かわいそうな話にしないほうがより悲しくなる」と語るように、本作は悲劇を強調しないことで、かえって深い余韻を残す。酒井監督もまた、人が状況によって見せる“素直な感情の揺らぎ”を丁寧にすくい取ることを重視したという。その積み重ねが、本作を単なるラブストーリーから引き離しているのだ。

當真あみと齋藤潤、二人でなければ成立しなかった物語

WEB sub1★_0820_31c_037_h3.jpg

當真が、「余命半年という単語がタイトルに入っていますが、その限られた時間というのは悲しいものではなく、その中でどれだけ自分自身を大切にしながら、強く生きるかが描かれています」と舞台挨拶で語っていた通り、萌は単なる悲劇のヒロインではない。「15歳の誕生日まで生きられないかもしれない」と、主治医から余命を宣告されながらも高校への進学を決意し、入学式で初めて対面した日向(齋藤)に、不器用ながらも真っ直ぐに想いを伝える。その姿は極めて切実でありながらも、どこかまぶしい。生を“巻きで”駆け抜けようとする萌の意志が、画面いっぱいに広がっている。

當真はその強さと儚さを同時に体現し、齋藤潤は日向の戸惑いと成長を繊細にすくい上げる。酒井監督が「この二人でなければ成立しなかった」と明かす通り、過不足のない二人の呼吸が、作品全体のリアリティを支えているのだ。

さらに、13年後の日向と、萌の親友・麗を演じる杉野遥亮と中条あやみが、時間の流れに厚みを与える。「試写室を出て、監督の顔を見るなり号泣してしまった」という中条が、完成披露試写会の壇上でも感極まり、「本当の時間がこの映画にはあった」と、上を向き、目頭を押さえながら震える声で語る場面は、キャスト自身がこの物語をどれほど深く受け止めていたかを物語っている。

メイキングとイベント映像が映し出す“信頼”の現場

WEB sub2_0823_71_044_h3.jpg

メイキング映像の中でとりわけ印象的だったのは、酒井監督の演出スタイルだ。若い俳優たちの初々しさを引き出すため、あえてエチュード(自由芝居)を取り入れ、脚本段階から岡田と相談しながら撮影方法を設計していったという。監督がこだわり抜いた様子が手の取るように伝わる、萌と日向の出会いのシーンの撮影の舞台裏や、日向の実家として登場する100年以上続く醤油醸造所での撮影で、キャストが実際の作業を学びながら役に向き合う様子。クライマックスの≪ストロベリームーン≫の場面が昼間に撮影されていたという裏話も含め、映像づくりの緻密さも随所に見て取れる。

萌が病床で最期の瞬間を迎えるシーンでは、當真が目を閉じたまま周囲の芝居に心を動かされ、思わず涙してしまったという証言も収められている。表情が見えなくとも、声だけで感情が伝わる。その瞬間に、この作品の濃密な時間が凝縮されている。

さらに、本作の主題歌を手掛けたORANGE RANGEと主演の當真&齋藤が登壇した「サプライズ学校試写会in沖縄」や、先述の舞台挨拶の模様を収めたイベント映像集も見逃せない。大ヒット御礼舞台挨拶では、脚本家の岡田からキャスト陣への手紙がサプライズで読み上げられる感動的な一幕も。一方、主要キャストによる座談会では、ユースケ・サンタマリアが場を回しながら軽妙にトークを展開。完成披露でユースケから明かされた、監督との対話を経て「この人に任せよう」と全幅の信頼を寄せたというエピソードも相まって、作品の空気感そのままの温かいチームワークが伝わってくる。

萌が遺したもの—観る者に返される問い

WEB sub5_h_180.jpg

本作が問いかけるのは、よくある“余命もの”の映画やドラマでフォーカスされる“死”そのものではない。「限りある時間をどう生きるか」という、ごく根源的な問いだ。

その問いへの答えを、言葉だけでなく、行動で示すかのように、恋をし、友と過ごし、未来へ想いを託す萌。そして13年後…。その思いが日向のもとへと届くとき、それを目にしている観客も萌と同様、「限りある時間を生きる」自身の胸に問いただす。

脚本の岡田惠和みずから「気持ちのいい涙が流れるはず」と語る通り、本作を鑑賞しながら流れる涙は悲しみに留まらない。Blu-rayの特典映像は、きっとその涙の理由をもう一度丁寧にほどき、作品の余韻をより一層確かなものにしてくれることだろう。

文=渡邊玲子 制作=キネマ旬報社・山田

WEB jacket_BD(セル).jpg

『ストロベリームーン 余命半年の恋』

●4月15日(水)Blu-ray&DVD発売(レンタルDVD同時リリース)
▶Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら

●Blu-ray 価格: 7,480円(税込)
【ディスク】<1枚>
※本編+特典映像
★特典映像★
・『月明かりの向こう側』Making of Strawberry Moon(メイキング映像)
・イベント映像集
・スペシャル座談会【完全版】
★封入特典★
・ブックレット

●DVD 価格:4,180円(税込)
【ディスク】<1枚>※本編

●2025年/日本/ 127分
●原作:芥川なお「ストロベリームーン」(すばる舎)
●監督:酒井麻衣
●脚本:岡田惠和
●音楽:富貴晴美
●主題歌:ORANGE RANGE「トワノヒカリ」 (Sony Music Labels Inc.)

●出演:當真あみ 齋藤 潤 / 杉野遥亮 中条あやみ
池端杏慈 黒崎煌代 吉澤要人 
伊藤健太郎 泉澤祐希 黒島結菜 池津祥子 橋本じゅん
田中麗奈 ユースケ・サンタマリア

●発売・販売元:VAP
©2025「ストロベリームーン」製作委員会

ご案内