「ハローマイフレンド」から広がる新たな一歩 三カ国を経験した俳優ケンゾウ・マルティニ
地域×食×高校生をテーマにした青春映画『ぼくらのレシピ図鑑』シリーズの第4弾となる『ハローマイフレンド』(監督:市井昌秀/「ハルチカ」「犬も食わねどチャーリーは笑う」「台風家族」)が、東京・清瀬市を舞台に完成。新宿K’s cinemaでの公開初日は満席となり、好調なスタートを切った。
その後も上映は全国へと広がり、4/24(金)より京都・出町座、4/25(土)より大阪・シアターセブン、横浜・ジャック&ベティ、5/9(土)より名古屋・シネマスコーレで順次公開される。さらに、監督の出身地でもある富山・ほとり座での上映も決定している。
-c021feaf-medium.webp)
本作には、注目の若手俳優が集結。主演の蒼井旬は「孤狼の血 LEVEL2」「流浪の月」「雑魚どもよ、大志を抱け!」などで存在感を示してきた実力派。共演には、第34回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでファイナリストに選出、「氷室蓮司」で主人公の息子役を務めた山岡樹、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2025でスペシャル・メンションを授与された映画「お笑えない芸人」に出演する村山暁、そして現在は日本を拠点に俳優業と並行してシンガーソングライターとしても活動し、本作で日本デビューを果たすケンゾウ・マルティニと、多彩な顔ぶれが揃う。
彼らが演じるのは、清瀬市の高校に通うSF映画部のメンバーたち。“凶悪”なエイリアンとの思いがけない遭遇をきっかけに、映画作りと友情を通して成長していく青春SFファンタジーが描かれる。
本作を彩る4人の若手俳優たちの素顔に迫るリレーインタビューラストはケンゾウ・マルティニ

フィリピンでの芸能活動を経て、日本で新たなスタートを切った若手俳優、ケンゾウ・マルティニ。
幼少期から演劇やアートに親しみ、9歳で芸能活動を開始。テレビ番組やCMへの出演を重ねながら、表現の幅を広げてきた。現在は日本を拠点に、俳優としての活動に加え、シンガーソングライターとしても音楽表現に取り組んでいる。
日本映画デビュー作となる「ハローマイフレンド」で演じたのはボンシャン役。異なる文化や言語を背景に持つキャラクターとして、SF映画部のメンバーに自然と溶け込み、物語にさりげない温かさと新しい視点を加えている。
フィリピン、ニュージーランド、日本と、三カ国での経験を積んできたケンゾウ。今回の作品に向き合った思いや、俳優として思い描くこれからについて話を聞いた。
マニラから日本へ、自分の経験が役と重なった
s-0e8f486e-medium.webp)
……今回演じたボンシャン役は、どんなキャラクターでしたか?
もともと市井監督が考えていたボンシャンのイメージがあったんです。ワークショップを通じて監督といろいろと話す中で、僕自身のキャラクターも少しずつ混ざっていったという感覚があって。結果的に、僕自身のことが反映されている役になったと思います。
……たとえば、それはどういうところが?
ボンシャンはフィリピンからの日本へ来た設定なんですが、僕も高校時代にマニラから日本に引っ越してきた経験があって。当時は日本語もあまり話せなかったので大変でしたが、それも全てチャレンジだったし、周りのみんながいろいろと助けてくれました。だからこそ、周りの友達が何か助けを必要としていたら助ける。たとえば英語の授業でわからなければ、僕はわかるから、じゃあ一緒にやろうよ、みたいな。
……そうなんですね。
井監督と話し中で、ボンシャンのバックグラウンドについても聞きました。ボンシャン自身も子供の頃から映画作りが好きだった、という設定も。僕自身も子供の頃、ビデオカメラを回して、家族と一緒にショートムービーを撮っていたので、そこも共通していると感じました。
……SF映画部を演じた4人の中では、ケンゾウさんが一番年上なんですよね。
はい。僕は今、25歳です。フィリピンのマニラ出身で、18歳のときに日本に来ました。日本で学校に通ったあと、それからニュージーランドに渡り、2年前に日本に戻ってきました。現在はシンガーソングライターとしても活動していて、2025年にはアルバム『Radio Tokyo』をリリースしています。
フィリピンで培った表現の原点と日本でのデビュー
s-903b8059-medium.webp)
……日本では今回の「ハローマイフレンド」が俳優デビュー作ですが、フィリピンで芸能活動をされていたそうですね。
はい。小さい頃から演劇やアートに囲まれて育ちました。7歳のときにパフォーミングアーツのワークショップに参加して、母と一緒に何度も何度もセリフの練習をしました。おかげでセリフを覚える力が身についただけでなく、学校の勉強の内容を覚えるのにも役に立ちました(笑)。
フィリピンでは9歳のときに芸能活動を始めて、いろいろなテレビ番組やCMにも出演していました。今回のオーディションは、ボンシャンの母親役を演じているステファニー・アリアン(赤司ステファニー)さんから教えてもらったのがきっかけです。何か新しいチャンスにつながればと思いオーディションを受けました。
……演じることの面白さや楽しさはどんなところに感じますか?
演技を通して、「ハローマイフレンド」の物語の世界に入り込み、ボンシャンの人生や世界をつくることが面白いなと。それはボンシャンだけでなく、登場人物たち一人ずつのストーリーもあって、それが互いに交わってくるじゃないですか。そこがとても面白いなって思っています。
俳優・音楽活動の裏で、英語教師としての日常

……普段、俳優やシンガーソングライターの仕事をしていない時はどんなことをしていますか?英語塾で先生もしています。小学校から中学校の生徒たちに教えていて、『ケンゾウ先生』って呼ばれてます(笑)。
…ご自身の性格や価値観は、どのように形作られてきたと思いますか?
これまで三カ国で暮らしてきましたが、今の自分を形作ってくれたのは、それぞれの場所で受け取った愛や価値観の“総和”だと思っています。その経験が、とくに変化に対してオープンな人間にしてくれました。
マニラでは、温かさや礼儀を重んじる心、そして困難にも耐え抜く忍耐力を学びました。東京は、大人になることや責任を持つことを教えてくれた街です。そして、今まさに目指しているアーティストとしての自分へとつながる扉を開いてくれました。周囲にアートに関わる人が多く、この街で表現を追求できていることに感謝しています。
ニュージーランドのオークランドでは、コミュニティの大切さを学びました。規模に関係なく、自分が共感できるコミュニティに属し、どこにいても支え合えるという価値観です。
……そんなケンゾウさんにとって、人生で大切にしている『軸』のようなものはありますか?
僕の人生の軸は、「自分の心が高鳴るものに従うこと」です。何よりも幸せと愛を優先することを大切にしています。どんなに大変なことでも、逆に簡単なことでも、そこに愛を込めて向き合えば道は開けると思っています。
そしてもう一つ、自分自身に優しく話しかけること。言葉には力があって、人は最終的に『自分が言った通りの自分』になっていくと思うんです。だからこそ、どんな時も前向きな言葉で自分を励ますことが、前向きな結果につながると信じています。
……5年後、10年後にはどんな人になっていたいですか?
今、25歳なので、5年後には30歳ですね。もっといいアーティストになっていたいです。たとえば、ソングライターとしての知識やテクニック、そしてキャリアも成長させていたいですね。そして、なによりハッピーに暮らしていたいと思います。
……では、リレーインタビューの最後を飾るケンゾウさんには、SF映画部の3人の仲間たちの演技の見どころを教えてください。
まず、颯役を務めた蒼井旬君の演技はとても自然で、役と完全に溶け合っているところが本当に素敵だと思います。きっとたくさんの努力を重ねているはずなのに、それを全く感じさせない“さりげなさ”が魅力です。その自然体な表現力に注目して欲しいですね。陽向役の山岡君は、彼の演技にある情熱と熱量を感じて欲しいです。作品全体を通して、彼の強い感情がコントラストを生み出していて、その存在感は物語に深みを与えていると思います。そして、若水役の村山君は、役に対する向き合い方がとても印象的でした。セリフ一つ一つに丁寧さがあり、まるで本当にその人物として生きているように感じました。ぜひ、村山君の繊細で誠実な表現を楽しんで欲しいと思います。
取材・文=前田かおり
ケンゾウ・マルティニ プロフィール
2000年生まれ、フィリピン・マニラ出身。
日比ダブルの俳優・シンガーソングライター。
9歳で芸能活動を開始し、フィリピンでは数々のTV番組やCMに出演。2018年に東京へ拠点を移し、25年にアルバム「RadioTokyo」をリリース。自己発見や成長の感情的な複雑さをテーマにした音楽を創作、アンビエントなエレクトロニックビート、インディーの影響、感情的なボーカルを融合させた独特なサウンドで、内省的で没入感のある音の世界をつくり出している。本作『ハローマイフレンド』で日本での俳優デビューを果たす。
「ハローマイフレンド」
監督:市井昌秀(「ハルチカ」「台風家族」「犬も食わねどチャーリーは笑う」)
脚本:市井昌秀 木乃江祐希
出演:蒼井旬 山岡樹 村山暁 ケンゾウ・マルティニ 横溝菜帆 大友一生 小寺結花 三木彩音 安藤冶真 村松和輝 本間淳志 赤司ステファニー(ステファニー・アリアン)一宮レイゼル 西堀亮(マシンガンズ)釈由美子 萩原聖人
プロデューサー:曺明実 三谷一夫 古賀奏一郎 音楽:西山宏幸 撮影監督:関将史 録音:岸川達也 美術:野中茂樹 特殊造型:土肥良成 スタイリスト:渡部祥子 ヘアメイク:佐伯憂香 記録:黒木ひふみ 編集:木谷瑞 市井昌秀 音響効果:渋谷圭介 助監督:向田優 制作担当:新井潤 スチール:まかないひとし 宣伝:我妻詩穂子
企画:清瀬市シティプロモーション課 キネマ旬報企画 制作プロダクション:SS工房 配給・宣伝:キネマ旬報企画 製作:映画24区 ©映画24区HP:https://hellomyfriend.jp
公式X: @bokureci_hmf 公式Instagram: @hello_my_friend_movie
