Jホラーブームを生み出した「リング」「らせん」はスプラッターが嫌いだったから生まれた⁉ 〈あの懐かしの映画を語ろう2〉第3回前編

キネマ旬報YouTubeチャンネル〈あの懐かしの映画を語ろう2〉の第3回の前編が5月11日(月)より配信が開始。フジテレビなどでヒット作から単館系まで数多くの作品を手掛けた河井真也氏に今回語っていただいたのはJホラーブームを巻き起こした「リング」・「らせん」。

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©1998 リング らせん 製作委員会

※去る5月8日、「リング」「らせん」の原作者の鈴木光司氏が死去しました。心より哀悼の意を表します。図らずもその訃報を受けるかたちで配信することになりましたが、番組の収録は昨年末に行われたものであることをご留意ください。

「スワロウテイル」製作のためにポニーキャニオンに出向していた河井氏。当時ポニーキャニオンがオフィスを構えていた新富町の同じビルにWOWOWもあり、そこでプロデューサーの仙頭武則氏と出会う。せっかくなら一緒に仕事をしないかという話になったのだが、ふたりは湯布院映画祭で相部屋になったのが初対面で、エンタメ作品をメインにする河井氏と、単館系・アート系作品をメインにする仙頭氏とは、お互いに20本以上の作品を手掛けながらも一緒に仕事はしたことはなく、それは製作費の面でも完全に違っていたという。

そこで具体的に仙頭氏から映画にしたい作品として挙げてきたのが「リング」。仙頭氏は1995年にフジテレビで放送された『リング 事故か!変死か!4つの命を奪う少女の怨念』の作品の出来に不満があり、どうしても自分の手で映画化したいという。仙頭氏は原作の『リング』にリスペクトがあり、テレビ版は違うということを延々と語ったそうだ。いわゆるスプラッター系のホラーが苦手で、ホラーに詳しくも好きではなかった河井氏だったが、仙頭氏の熱意に押され原作を読んでみたところ、ホラーではあるのは勿論だが、人間ドラマとしての面白さがあるところに『これなら自分でもいけるかも』と思ったという。

そこで「リング」を映画化するために河井氏は動き出すが、すでに東宝と角川書店で映画化の企画が進行していたことを知る。しかし、『らせん』をベースに『リング』の話を入れ込んで1本の作品にしようと難航していた企画を、『リング』と『らせん』を分けた連作にすることを提案、東宝・角川側も了承して、河井氏と仙頭氏がシナリオ作りに入ることになる。

『リング』の映画化がすでに進んでいたことは、仙頭氏も恐らく知らなかったというが、引き継いだ企画では翌年の1月に公開することが決まっており、製作期間の短さがが大きな問題になってくる。「リング」だけならまだしも、それに続く「らせん」は、「リング」の脚本、結末が固まってからでないと脚本が書けないからだ。河井氏が持参した資料には、「リング」の準備稿が7月の日付になっていたことから、決定稿は9月頃だったと推測でき、それから「らせん」の脚本作りが本格化することを考えると、相当タイトなスケジュールだったことが分かる。

結果、「らせん」は当初決まっていた監督ではなく、『リング』『らせん』の世界観をよく理解して、脚本も書けて、なおかつ演出もできる人に託すことになる。そんな“都合の良い人”が飯田譲治氏であった。飯田氏は仙頭氏が批判していたテレビ版の『リング』の脚本を書いた当の本人であったのだ。そのため「リング」をメインに担当していた仙頭氏側ではなく、一瀬隆重氏が担当する「らせん」に入ってもらい、2週間で脚本を書き、その2週間後には撮影に入るという、信じがたいスケジュールで製作したという――。

そのほか、難航した「リング」の主人公のキャスティングについて、松嶋菜々子を抜擢するまでの話や、「女優霊」に強烈なインパクトを受けた中田秀夫氏に監督をオファーする話など、「リング」「らせん」の制作秘話が語られる本編をぜひご覧いただきたい。

また後編では、公開までの前例のない仕掛けや、あのお馴染みの“貞子のテーマ”誕生秘話、ハリウッドでリメイクもされた「リング」、そして「らせん」についてさらに語っていく。配信は5月中旬を予定。こちらもご期待ください。

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©1998 リング らせん 製作委員会

「リング」

監督:中田秀夫
原作:鈴木光司
エグゼクティブプロデューサー:原正人
プロデューサー:河井真也、一瀬隆重、仙頭武則
出演:松嶋菜々子、真田広之、中谷美紀、竹内結子、佐藤仁美、松重豊
1998年/95分/配給:東宝

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©1998 リング らせん 製作委員会

「らせん」

監督・脚色:飯田譲治
原作:鈴木光司
エグゼクティブプロデューサー:原正人
プロデューサー:河井真也、一瀬隆重、仙頭武則
出演:佐藤浩市、中谷美紀、真田広之、鶴見辰吾、佐伯日菜子
1998年/97分/配給:東宝

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