25年の時を経て4Kレストア化した名作「ヤンヤン 夏の想い出」の製作に迫る――〈あの懐かしの映画を語ろう2〉第4回中編
キネマ旬報YouTubeチャンネル〈あの懐かしの 映画を語ろう2〉の第4回の中編が8月14日(金)より配信が開始された。フジテレビなどでヒット作から単館系まで数多くの作品を手掛けた河井真也氏に今回語っていただいたのは「ヤンヤン 夏の想い出」の製作における監督のこだわり、そして4Kレストア化について。動画本編の一部をここに紹介する。

前編ではY2Kプロジェクトとしてエドワード・ヤン監督が企画した「SCISSORS」(シザーズ=はさみ)が、キャスティングの問題で製作に至らず、その代わりに監督が約1カ月で脚本を書き上げたのが「ヤンヤン 夏の想い出」であったことが語られた。今回の中編は、監督がどうしても日本での撮影を望んで譲らなかったというエピソードから始まる。
自身が設立した制作会社の名前がATOM FILMS(アトム・フィルムズ)であることからも分かるように、手塚治虫フリークだったという監督は「ヤンヤン」の劇中にもさりげなく鉄腕アトムを登場させていることや、熱海での撮影は小津監督の影響もあると言い、日本に対する監督の深いリスペクトを河井氏は感じたという。
続いて、監督とのコミュニケーションについて。河井氏は監督との会話は通訳を介して行い、その間に考えをまとめる時間を取れたことで結果的に話を円滑に進めることができたというが、もしクリエイティブな会話を直接していたら相当大変だったろうと当時を振り返る。
さらに、エドワード・ヤンとの作品作りが決まった際に、真っ先にその大変さを教えてくれたのが元シネカノンの李鳳宇氏だったという。製作費(ファイナンス)を含めたプロデューサー的な役割を置かずにこれまで自主映画のような作品作りをしてきた監督に、プロデューサーとして関わることの難しさを考えると自分にはできない、と言われたという。これは李氏だけの考えではなく、台湾映画の巨匠・侯孝賢(ホウ・シャオシェン)の「好男好女」のプロデュースを手掛けた市山尚三氏からも同様に、台湾映画界で誰も近寄らなかった監督と一緒にできたのは、河井氏だからできたのだろうと褒め(?)られたそう。
「カップルズ」のような比較的ライトな作品を想定していた河井氏だったが、日本でヒットさせるためには日本人のキャスティングが重要だと考え、あるスターの起用を検討したという。誰にキャスティングしようとしていたかは本編動画をご確認いただきたいが、何人か候補を挙げた中で最終的に決まったのが、イッセー尾形氏。劇中では有名なゲームソフト開発者の日本人・大田として登場するが、渋谷ジァン・ジァンの独り芝居を撮影したビデオを観て、監督が決めたという。

そのほか、「ヤンヤン」が目指していたカンヌ受賞、アメリカでも高く評価された一方、アカデミー賞に合わせるために急遽公開された日本での興行は振るわなかったこと、台湾映画界での監督の孤立した立場、4Kレストア化することになった経緯などについて語られていく。さらに後編では、カンヌ国際映画祭の思い出や、ハリウッドで映画製作をすることの難しさなど「ヤンヤン」からさらに踏み込んだ話が展開されていく。ぜひ後編にもご期待ください。
「ヤンヤン 夏の想い出 4Kレストア版」
監督・脚本:エドワード・ヤン
プロデューサー:河井真也
撮影:ヤン・ウェイハン
照明:リー・ロンユー
編集:チェン・ポーウェン
録音:ドゥ・ドゥーツ
美術・音楽:ペン・カイリー
出演:ウー・ニエンジェン、エレン・ジン、イッセー尾形、ジョナサン・チャン、ケリー・リー
2000年/台湾・日本合作/173分
配給:ポニーキャニオン
©1+2 Seisaku Iinkai
公式サイト:https://yi-yi.jp
