1990年代を代表する名作「月はどっちに出ている」がデジタルリマスター版で復活
在日コリアンのタクシードライバーとフィリピンパブのホステスの恋模様を軸に、関係する面々の日々を描いた崔洋一監督作「月はどっちに出ている」(1993)が、デジタルリマスター版で復活。11月27日(金)より新宿ピカデリーほか全国で順次公開される。ポスタービジュアルと予告編が到着した。

在日コリアンのタクシードライバーである忠男(岸谷五朗)。朝鮮学校の同級生だった世一の会社で、風変わりな同僚たちといい加減な日々を送り、フィリピンパブのホステス送迎を日課にしている。そんな中で出会ったのが、新顔のチイママであるコニー(ルビー・モレノ)だった。妙な関西弁で生意気な口を利く彼女になぜか惹かれた忠男は、彼女の留守中に部屋に勝手に上がり込んでしまう。一方で忠男の同僚たちは立て続けに事件を起こし、タクシー会社は惨憺たるありさまに……。
1993年の公開時にはメイン館の新宿ピカデリーで26週のロングラン上映となり、キネマ旬報創刊100周年特別企画〈1990年代日本映画ベスト・テン〉では第1位に選出された。甦った映像で楽しみたい。
プロデューサー李鳳宇コメント
私の先輩であり、恩人でもある崔洋一が亡くなって4年の歳月が過ぎようとしている。
そして彼と初めて仕事した「月はどっちに出ている」の原作者である梁石日も2年前に他界した。あの作品の制作に関わったトライアーツの青木勝彦、出演者の金久美子、古尾谷雅人、内藤陳、絵沢萠子はみな鬼籍に入ってしまった。
本作は予算を考慮してスーパー16ミリで撮影した。当時16ミリのネガから35ミリのインターネガを作ってプリントを焼くと、せいぜい10〜15本位しか生産出来なかったはずだ。幸いにも映画がヒットしたので35ミリのプリントは延べで30本程度作ったと記憶している。
映写機によるプリント上映は、当然劣化が進むが、2年前に行われたある上映会に立ち会った際、フィルム上映の限界を感じた。そしてデジタル化の判断の遅れを猛烈に悔いた。
ネガからデジタルリマスター版を制作しながら驚いたのは、33年前の登場人物たちが若返ったように活き活きと笑っている。心なしか岸谷五朗の動きが早く見える。足立区の丸正タクシーの古びた営業所が新築のように映っている。そして何よりルビー・モレノが神々しいほど美しく我々を見つめていた。
この映画を初めて観る人たちは、鮮やかな色のタクシー車両や新宿のネオンの煌めきやオレンジ色の炎を鮮明に記憶するだろう。彼等の映画体験が特別なものになれば、苦楽を共にした今は亡き同志たちに細やかな恩返しが出来るかもしれない。

「月はどっちに出ている デジタルリマスター版」
監督:崔洋一
プロデューサー:李鳳宇、青木勝彦
原作:梁石日「タクシー狂躁曲」
脚本:崔洋一、鄭義信 撮影:藤澤順一 照明:上田なりゆき 美術:今村力、岡村匡一 録音:北村峰晴 編集:奥原好幸 音楽:佐久間正英 音楽プロデューサー:石川光 監督補:祭主恭嗣 助監督:前田哲 エンディングテーマ:憂歌団「Woo Child」アルバムGON-TA(ワーナーミュージック・ジャパン)
出演:岸谷五朗、ルビー・モレノ、絵沢萠子、小木茂光、遠藤憲一、有薗芳記、麿赤兒、國村隼、芹沢正和、金田明夫、内藤陳、萩原聖人、古尾谷雅人
2026年(オリジナル版:1993年)/カラー/ヴィスタサイズ/109分/DCP/PG12
宣伝美術:李潤希 配給:マンシーズエンターテインメント、スモモ
© 2026 月はどっちに出ている デジタルリマスター製作委員会
公式サイト:https://www.sumomo-inc.com/tsuki2026
