映倫 次世代への映画推薦委員会推薦作品 —「進行曲 マーチングボーイズ」

実話をもとにした清々しい青春ドラマ

戒厳令の解除から間もない90年代前半の台北を舞台に、マーチングバンドを通じて自由を求め、自分たちの意思を表現しようとした高校生たちの姿を描く青春ドラマ。エドワード・ヤン監督の名作「牯嶺街少年殺人事件」(91)にも登場する建国高校(台北市立建国高級中学校)マーチングバンド部員たちが92年に経験した実話を大ヒットヤクザ映画「角頭」シリーズ(21〜25)や、BLドラマ『僕らも知らない僕ら』(24)で知られるジャン・ルイジー監督が映画化した。
主人公は内気な高校生ジャン・ハオ。かつては音楽を愛し、彼と姉にトランペットの演奏を聞かせてくれた父との思い出を胸に抱きながらマーチングバンド部に入部し、仲間たちとともに成長する喜びに気づいていく。部活動に打ち込む高校生たちの姿を描いた作品といえば、「スウィングガールズ」(04)や「ウォーターボーイズ」(01)といった日本映画や、弱小バスケットボール部の活躍を見せる韓国映画「リバウンド」(23)を思い出すが、部員たちが放課後に集まるのがかき氷のお店だったり、アルバイトで出掛けていく演奏場所が葬儀場や舞台のある宴会場だったりするところに台湾らしさを垣間見ることができる。

他校の女子学生との出会いもあるが、ラブストーリーには進まず、楽器の技術だけでなく体育会的な訓練も必要なマーチングバンド部のなかだけで物語が進むのも清々しい。自由奔放な言動で周囲を驚かせるリウ・ジーチュワンが授業中に口にする、ロビン・ウィリアムズ主演の「いまを生きる」(89)に対するオマージュも感じられる。
一番の見どころは、練習を重ねたキャストたちに、建国高校のOBたちも加わって撮影されたという大会での演奏シーン。美しいフォーメーションと迫力ある演奏をたっぷり見せてくれる。
文=佐藤結 制作=キネマ旬報社・山田 (『キネマ旬報』2026年11月号より転載)

「進行曲 マーチングボーイズ」
【あらすじ】
受験第一とプレッシャーをかける父に黙ってマーチングバンド部に入部した高校生ジャン・ハオ。音楽の天才リウ・ジーチュワンや、部員を引っ張る部長タイチェンらと出会い、充実した毎日を送るようになる。しかし、大会予選の当日、演奏中にリウ・ジーチュワンが思いを寄せる女子高生に横断幕で愛を告白。準決勝に残れず、ジャン・ハオたちは落胆する。
【STAFF & CAST】
監督:ジャン・ルイジー(姜瑞智)
出演:ムー・セン(牧森)、リウ・ユーレン(劉育仁)、ユー・ジェエン(余杰恩)、リー・リーレン(李李仁)ほか
配給:メイジャー 配給協力:アクセスエー
2025年/台湾/117分/PG12
10月23日(金)より全国にて順次公開
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