映倫 次世代への映画推薦委員会推薦作品 —「ファンファーレ!ふたつの音」
2つの異なる旋律が奏でる、世界にひとつだけの軌跡
本国で260万人動員の大ヒット、第50回セザール賞で主要7部門にノミネートされた音楽と絆の感動作。「セラヴィ!」のバンジャマン・ラヴェルネが世界的に名を馳せた指揮者ティボを、「秋が来るとき」のピエール・ロタンが地元のアマチュア吹奏楽団でトロンボーンを吹くジミーを好演する。監督&脚本は、「アプローズ、アプローズ!囚人たちの大舞台」のエマニュエル・クールコル。ときにユーモアを交えながら、正反対の人生を歩んできた兄弟の絆を描き出す。
「相反するものを調和させ、妥協点あるいはバランスを見つけること」が何よりも好きだと語る監督は、音楽家として世界中を飛び回る兄と、地元の学食で働く粗野な弟の運命を〝音楽〞という共通点でつないでみせる。別々の場所で生きていても音楽を好きだという気持ちは同じ。2人がディスコ・ナンバー〈マンデイ・チューズデイ〉に乗せて踊り狂う場面は、全く境遇の違う彼らも根底では〝似た者同士〞であることを感じさせる粋なシーンだろう。
バンジャマンは若き指揮者アントワーヌ・デュタイイのもとで2カ月かけて指揮のスキルを、もともとピアノを弾いていたというピエールも3カ月かけてトロンボーンを習得。ラレン町営炭鉱労働者楽団のメンバーが演じる架空の団体「ワランクール炭鉱楽団」と共に、劇中では見事な腕前を披露している。
兄弟の予期せぬ再会は周囲の人をも巻き込み、まさにモーリス・ラヴェルの〈ボレロ〉のような大きな旋律となり壮大なフィナーレへと突き進んでいく。自分を信じてくれる人がいることの大切さ、音楽がもつ底知れぬパワーに圧倒される103分。ぜひひとりでも多くの人に、この感動に触れていただきたいと思う。
文=原真利子 制作=キネマ旬報社(『キネマ旬報』2025年9月号より転載)

「ファンファーレ!ふたつの音」
【あらすじ】
世界的なスター指揮者のティボは医者から白血病と診断され、妹の骨髄が適合するか検査をするも結果は不適合。さらに、自身が養子で、ジミーという弟がいることも判明する。ティボはさっそく弟のもとを訪ねるが、ジミーは戸惑いを隠せず骨髄の提供も拒否。しかし、育ての母クロディーヌにたしなめられたジミーは、ティボの力になろうとするが……。
【STAFF & CAST】
監督・脚本:エマニュエル・クールコル
出演:バンジャマン・ラヴェルネ、ピエール・ロタン、サラ・スコ ほか
配給:松竹
2024年/フランス/103分/Gマーク
9月19日より全国にて公開
© 2024 ‒ AGAT Films & Cie ‒ France 2 Cinéma
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