広瀬すず、杉咲花、清原果耶が主演した、 異色のファンタジー映画「片思い世界」!
(以下の文章には、物語のネタバレを含みます)。
脚本家・坂元裕二と監督・土井裕泰という大ヒット映画「花束みたいな恋をした」のコンビが、広瀬すず、杉咲花、清原果耶のいずれもNHKの朝ドラの主演を務めた国民的女優をトリプル主演に迎えて送る異色のファンタジー、「片思い世界」のBlu-ray&DVDが10月10日に発売(レンタルDVD同時リリース)された。ここでは幽霊になって共に暮らす主人公3人にスポットを当て、現世と霊界の人との想いをつなぐファンタジー映画の系譜を振り返りながら、その中でも異彩を放つこの作品の魅力を紹介しよう。
一緒に暮らす3人の女性たちは、12年の間、幽霊として生きていた!

東京の片隅にある古い一軒家。この家に暮らす美咲(広瀬すず)、優花(杉咲花)、さくら(清原果耶)は、それぞれ毎日仕事や学校、バイト先に向かって過ごし、帰ってくると一緒にご飯を食べる生活を続けていた。本当の姉妹のような絆で結ばれ、仲のいい3人だったが、彼女たちには誰にもわかってもらえない秘密があった。
映画は女性3人の共同生活を描く人間ドラマのように始まるが、やがて彼女たちが幽霊であることがわかる。3人は少女のころ、同じ合唱クラブに通っていたが、雪の降るある日、このクラブに一人の未成年が乱入し、3人を刺殺。以来彼女たちは一緒に生活しながら、幽霊のまま12年間成長していたのだ。彼女たちはこの世の人間に触れることも話すことも出来ず、彼女たちから現世の人間は見えるが、向こうからその姿は見えない。完全にこの世の人間から切り離されて、3人だけの世界にいる彼女たちの、一方通行の片思いが綴られる。
片思いの相手はそれぞれ違って、美咲は殺される前に合唱クラブで伴奏者をしていたピアニストの少年・高杉典真のことを今も思っている。優花は花屋をしている現在の母親・彩芽を偶然見かけ、もう一度会いたいという想いが募る。そしてさくらは刑を終えて出所した、自分たちを殺した青年に、殺した理由を尋ねたくて、彼の行方を探し始める。彼女たちの想いが、何らかの形で成就するのかどうかをポイントに、作品は動き始める。
現世の人間と幽霊の心をつなぐ、愛に彩られたファンタジーの系譜
これまでにも現世と霊界の人々の想いをつなぐファンタジー作品は、数多く作られてきた。例えば広島の原爆投下で亡くなった父親の幽霊と、その後も生活する娘を描いた「父と暮せば」(2004年)や、舞台を長崎にして亡くなった息子と生き残った母親の生活に置き換えた姉妹編の「母と暮せば」(2015年)。3年前に失踪した夫が幽霊になって戻ってきて、彼と旅を始める妻を描いた「岸辺の旅」(2015年)。思い出の地・浅草で両親の幽霊と遭遇し、一方では自分が住むマンションで幽霊と恋に落ちていく主人公を描いた「異人たちとの夏」(1988年)。さらには事故で亡くなった出来のいい姉の幽霊に励まされながら、成長していく妹を描いた「ふたり」(1991年)。これらに共通するのは親子や夫婦、姉妹といった愛で結ばれた人間関係をベースに、生者と死者が普通に生活したり、旅する姿を描いていることだ。これらは双方向に想いが通じ合うことで、ドラマが生まれていく。
片思いだからこそ募る、届かない思いの切なさ!

しかし「片思い世界」では、主人公たちの想いは現世の人に届かない。似たシチュエーションの映画を探すと、「ゴースト/ニューヨークの幻」(1990年)が近い。この映画ではパトリック・スウェイジ演じるサムが殺され、幽霊になった彼はデミ・ムーア扮する恋人のモリーとコンタクトをとろうとするが、彼女にはサムの姿が見えず、声も届かない。しかし霊媒師のオダ・メイ(ウーピー・ゴールドバーグが好演)だけは彼の存在を認識できて、オダ・メイを介して二人のラブストーリーは進んでいく。またサムは物を動かしてポルターガイスト現象を起こす能力を持っていて、これがモリーの危機を救うことにも役立つ。しかしここでの美咲、優花、さくらにはそんな能力もなく、劇中では自動車の中に一人取り残された幼児を見つけ、これを救おうとして何もできない自分たちの無力感を味わう。完全な孤独の中にいる3人の、だからこそ強い絆が映し出されている。
ただこの作品が3人の抱える辛さや切なさを描きながら、全体として軽やかな女性映画になっているのは、彼女たちが亡くなって12年間、霊界で生きている人間と同じように成長していることだ。徐々に背が伸びて大人になり、お腹が減れば食事を食べて、一日の終わりには疲れてベッドで眠る。幽霊であること以外、現世の人と何も変わらない日々の営みが、この映画を死んだときから時が止まった作品ではなく、妙な表現だが生きていく幽霊の明るさが胸に刻まれるものにしている。
また主演の3人に加え、ピアニストという役に説得力を持たせるために半年間、一からピアノの練習を重ね、成長した高杉典真を演じる横浜流星の好演にも注目してほしい。
メイキングドキュメンタリーなど、作品を深堀りする特典映像が満載
今回のBlu-ray&DVDには完成報告会見、全国ライブビューイング舞台挨拶、坂元裕二ティーチイン、御礼舞台挨拶などの『イベント集』や、主演3人が登場する『公開記念番組』と『キャストインタビュー集』、ラストシーンで印象的に歌われる合唱曲『声は風』のスペシャルムービー、特報・予告・CMスポットに加えて、30分近い『メイキングドキュメンタリー』を特典映像として収録。
メイキングドキュメンタリーでは土井監督が、現実では自分が辛い家庭環境に育ったからこそ、優花やさくらに深い愛情を注ぐ長女のような美咲、論理的な考え方をするが実は感情が豊かな優花、自由奔放に見えながら一番傷つきやすいさくらなど、それぞれのキャラクターを解説しながら、演じた3人と役とのマッチングの見事さを語るインタビューも興味深い。これらの特典映像を合わせて観れば、幽霊となって過ごしてきた彼女たちの、12年間の日々がどういうものか想像されて、さらに感動が深まるだろう。
文=金澤誠 制作=キネマ旬報社・山田
「片思い世界」
●10月10日(金)Blu-ray&DVD発売(レンタルDVD同時リリース)
▶Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら
●Blu-ray豪華版 2枚組 価格:8,030円(税込)
【ディスク】<2枚>※本編(Blu-ray)+特典映像(DVD)
★特典映像★
・メイキングドキュメンタリー「『片思い世界』の世界」
・イベント集【完成報告会見/全国ライブビューイング舞台挨拶/坂元裕二ティーチイン/御礼舞台挨拶】
・公開記念番組「広瀬すず×杉咲花×清原果耶 ホームパーティーSP」
・キャストインタビュー集 広瀬すず・杉咲花・清原果耶
・「声は風」 Special Movie
・特報・予告・CMスポット
★封入特典★
・オリジナルブックレット
●DVD豪華版 2枚組 価格:6,930円(税込)
【ディスク】<2枚>※本編(DVD)+特典映像(DVD)
★特典映像★
・メイキングドキュメンタリー「『片思い世界』の世界」
・イベント集【完成報告会見/全国ライブビューイング舞台挨拶/坂元裕二ティーチイン/御礼舞台挨拶】
・公開記念番組「広瀬すず×杉咲花×清原果耶 ホームパーティーSP」
・キャストインタビュー集 広瀬すず・杉咲花・清原果耶
・「声は風」 Special Movie
・特報・予告・CMスポット
★封入特典★
・オリジナルブックレット
●DVD通常版 価格:4,290円(税込)
【ディスク】<1枚>※本編DVD
●2025年/日本/本編126分+特典映像131分
●脚本:坂元裕二
●監督:土井裕泰
●オリジナル劇中歌:「声は風」
●出演:広瀬すず、杉咲花、清原果耶
横浜流星
小野花梨、伊島空、moonriders、⽥⼝トモロヲ、西田尚美
●発売元:TBSスパークル 販売元:TCエンタテインメント
©2025『片思い世界』製作委員会
