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ペルーの山間の村に暮らす少年と映画の出合いアンデス山脈やアマゾンの熱帯雨林、インカ帝国の遺跡・マチュピチュで知られるペルーは、日本の約3・4倍の国土に約3435万人の人々が暮らす国だ。「今日からぼくが村の映画館」では、山間の村に住む少年と映画との出合いを軸に、先住民たちの暮らしが描かれる。シストゥの家は農業で暮らしを立てており、父親は一刻も早く彼にも一人前の働き手となってほしいと考えている。一方、母親は彼が学校に通ってスペイン語を学び、より広い世界に飛び出していってほしいと願う。そんな母の思いに...
手話との出会いから広がる新しい世界近年、「コーダ あいのうた」(21)や「ぼくが生きてる、ふたつの世界」(24)といった作品が注目されたこともあってか、映画のなかで手話を使う人たちの姿を見る機会が増えたように感じる。しかし、「聴覚障害者」と呼ばれる人たち全員が日常的に手話を使っているわけではない。それぞれに聞こえの度合いは異なり、補聴器や人工内耳を使用しながら(相手の口の動きを読み、声で自分の意思を伝える)口話や筆談でコミュニケーションをとる人もいる。自身をどう呼ぶかもアイデンティティの持ち方に...
子どもと大人の化学反応で、世界は新たな色を帯びるアメリは生まれたときから植物状態だったが、駐日ベルギー大使の父も、ピアノを弾く母も、あまり心配していない。兄と姉は活発に遊び回っている。変化は突然訪れた。ベルギーから訪ねてきた祖母が差し出すホワイトチョコを口にして、覚醒するのだ。まず歩き、そして走る。初めての言葉をあっけなく口にすると、周囲で驚きと喜びが広がるが、アメリにすれば「とっくに喋れた」。使用人としてやってきたニシオさんとは、すぐに仲良くなった——。1960年代の神戸に生まれたアメリー・ノ...
多忙な医療現場を看護師の視点から見せる自分や家族、あるいは知人が入院したとき、一番痛切に願うのは「医師や看護師とゆっくり話したい!」ということだ。スイスのペトラ・フォルペ監督が手掛けた「ナースコール」は、病院で働く医療関係者が「なぜそんなに忙しいのか」を、ある看護師の過ごす1日を通して伝える。主人公は経験豊かで誠実な看護師フロリア。出勤した瞬間から息をつく間もなく、仕事をこなしていく。各部屋を回っての検温、血圧や痛みの確認。ナースステーションに戻っての点滴や鎮痛剤の準備。注射器を使うことも多く、...
90年代末の台湾の空気をさわやかに伝える青春ドラマ 「藍色夏恋」(02)や「あの頃、君を追いかけた」(11)など、瑞々しい青春映画を次々と生み出してきた台湾。90年代末を舞台にした「ひとつの机、ふたつの制服」も、そんな作品群に連なる一作だ。友情、恋、家族、受験といった普遍的なテーマを扱うこの作品がユニークなのは、同じ女子高の夜間部と全日制に通うふたりの生徒が、時間差で同じ机を使う「机友」として出会うこと。台湾の高校の夜間部も日本の定時制高校と同じく主に働く人たちのための学校だが、大学進学を目指す...
青年と祖母の交流から見えるもの、生まれるもの 大学を中退したエムは、ゲームの実況配信で稼ぐつもりだが成功には程遠い。ある日、祖母のメンジュにガンが見つかった。上手くやれば、遺産をもらえるかもしれない。エムは祖母の家に住み込み、世話をすることに――。 やや不謹慎な始まりから、青年が祖母と打算を越えた絆を育んでいくさまを描く「おばあちゃんと僕の約束」。タイの人気歌手および俳優であるプッティポン・アッサラッタナクンが演じるエムは、朗らかであっけらかんとしている。これが長篇映画デビュー作というウサー・セ...
青春の空を滑走した先で、痛みの重さを知る マリアのブログを通して、自然豊かなノルウェーの農場で可能な限り自給自足の生活を送るペイン家の生き方に魅了されたというシルエ・エヴェンスモ・ヤコブセン監督。作品としては完成しなかったものの、かつて一家にカメラを向けた経験を持つ。そんな彼女が10年ぶりにニックらと再会。大切な人を失った彼ら彼女らに寄り添いながら撮影を続け、今作を完成させた。 森の木を切り、畑を耕し、家畜を育て、家族で語り、笑い合っていたペイン家。その創造的で完璧な生活のバランスは、マリアの死...
青春の空を滑走した先で、痛みの重さを知る 理想とは程遠い大学生活を送る小西徹(萩原利久)。それでもバイト仲間のさっちゃん(伊東蒼)、ポジティブな友人の山根(黒崎煌代)と過ごす日々はそこそこ楽しい。そうした中、学食でひとり蕎麦をすする凜々しい桜田花(河合優実)と知り合い、急接近。それを感じ取ったさっちゃんは、意を決して小西に告白するが、その想いは実らず。やがて桜田は小西の前から姿を消す――あらすじに何気なく目を通し、大学生の青春と恋愛に、ちょっとミステリーを利かせたヤツだとわかった気になる。だがそ...
学校という社会の現実を少女の視点から描く 「ひとつの世界」という原題を持つこの映画は、小学校という〝社会〞に足を踏み入れたばかりの少女の視点から、その社会を規定する過酷なルールを生々しく見せる。周りと同じペースで行動することを要求される授業、友だちができなければ、ただ苦痛なばかりの休み時間や昼食の時間。とっくの昔に大人になってしまった人たちにとっても胸が苦しくなるほどおなじみの光景が、リアルに描かれている。本作で長篇デビューを果たしたローラ・ワンデル監督は、主人公ノラと観客を一体化させるため、終...
実話をもとに子どもたちに宿る可能性を見つめる物語 大人たちは生きるのに精一杯で子どもたちの教育について考える暇もないようなメキシコの街にあるホセ・ウルビナ・ロペス小学校。「型破りな教室」は、2011年にこの学校で起きた奇跡のような出来事について書かれた雑誌の記事をきっかけに作られた。 映画は、ドキュメンタリーを思わせる飾り気のないスケッチから始まる。家事をこなし弟妹に声をかけながら登校する少女、海辺の掘っ建て小屋で目を覚ます少年、ゴミの山で手鏡を見つける少女。彼と彼女たちが向かった学校は規則ばか...

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